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  今更イリヤの話 
08/22.Tue06:43
たぶんトウの昔に100回くらいは語られたことなんだろうけれど、一応誰にもインスパイアされずに思ったことなので書きとめておく。イリヤなんてもう読んでる人はみんな読んでるだろうし読んでない人は興味の埒外だろうから微妙にネタバレしても構わないよね。
イリヤの空、UFOの夏 その3』の「無銭飲食列伝」。伊里野と晶穂の、意地の張り合いのない交ぜになった恋の鞘当てが押井守ばりの大食い対決になって活写される爆笑短編なのだが、その中でこんな一節がある。

 どうしてこんな大騒ぎになってしまったのだろう。見物人なんかいなければよかったのに。誰も見ていなければどんな負け方をしたっていいのに。だから「応援団」って嫌いなのだ。運動部の取材をしているといつも見かける。うちの学校にもいる。学ラン姿でチンドン屋みたいな大騒ぎをしてがんばれがんばれと押しつけがましいことを叫ぶ連中。あれは要するに脅しだと思う。負ける方の身にもなってみろと言いたい。おまけに、連中は最後には自己満足でオチをつけるからどう転んでも痛い目をみないのだ。勝てば一緒に何かを成し遂げたつもりになって大喜び、負ければナルシスティックな自己憐憫にひたる。今ここで大騒ぎしている連中も一緒だ。(p68-69)


そんな大騒ぎしている連中の無責任な応援ぶりはどうかというと、

 それから、晶穂の意識は何度も途切れた。
 ――オラぁけっぱれ! だらしねえぞ、それっぱかしが食えねえのか!
 ――ウェイクアーップ! 起きナサーイ! あとスコシでーす!
 そのたびに、そんな周囲の声援に意識を呼び覚まされた。
 食い続けた。(p72-73)


これが、最終巻付近になって振り返ってみると背筋も凍るほど的確に本作のテーマ、人類の命運を一身に背負わされて戦う伊里野のはかない姿と重なることに、少なからぬ方が気づくだろう。まったく見事な構成としか言いようがない。
―と、どうも以前はてなダイアリーでも同じようなエントリを書いた気がするのだが、記憶回路はショート寸前ミラクルロマンスなのでこのままアップロードする。
* テーマ:電撃文庫&hp - ジャンル:小説・文学 *
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有村悠(アリムラユウ)―イラストレーターを志望しながら川崎の片隅でうだうだやっている若者。そろそろ若者って歳でもないけど。

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